こんにちは!テルです。
今回は、赤岳登山でガイドさんに学んだこと『リスクマネジメント編』をお伝えしていきます。
ガイドさんのお話を間近で聞いて、行動を観察して、常にお客さんを安全に下山させるためにを考えているんだなと感じました。
リスクその1 天気
天気は登山において一番気になるリスクだと思います。
1日目は快晴すぎる快晴でしたが、事前に調べた天気予報では、2日目は怪しい天気でした。
今回の山行では、どんな状況だったら山行を中止するのか、どのタイミングで判断するのかもみたかったため、正直どちらでもよかったです。
むしろ、プロが一緒なら、多少リスキーな方がいい。
晴天に行っても得られるものが少ないと感じていました。
赤岳鉱泉に泊まった1日目、ガイドさんたちが明日の天気について話をしていました。
嵐が近づいてきているが、朝早く出れば捕まらなそうとのこと。
2日目。予想通り曇り空。でも晴れ間も時折見える中での出発です。雪も降っておらず、視界も良好。
稜線もしっかり見えました。

行者小屋を過ぎたあたりで、ガイドさんに『耳を澄ましてごらん。稜線をよくみてごらん』と言われました。
聞き耳をたてると遠くに小さく風の音がしました。
ガイドさんは『1番のリスクマネジメントは危険な場所に行かないこと。山はしっかりリスクを教えてくれている。自分たちがそれに気づかず、進んでいるだけ。』とおっしゃっていました。
続けて『風の音がすれば、ここが無風でも稜線では風が吹いていることはわかるし、木々の揺れや、雪が舞っているか等である程度風の強さも認識できる。しっかり観察すること。』とも。
今まで雲の動きくらいしか、観察したことなかったのですごく勉強になりました。
また、山行中に、嵐の前兆の特徴も実際の雲で教えていただきました。
『風の向きが南よりになった。低気圧が近づいている証拠。』
『あの雲は、合体すると嵐になる雲。』
『自分の登山なら、まだ安全なうちに撤退するかどうか判断すること』
勉強になることばかりです。
リスクその2 低体温症、凍傷
一番そこまで考えるんだと感じたことが、冷えへのリスクマネジメントです。
赤岳鉱泉から出発の際、素早く準備した私は、すぐ外へ出ようとしていました。
そこで、ガイドさんに止められます。『一人で先に出たら、その分、冷えにつながるから待ってて。』
言われてみれば、当たり前といえば当たり前のことですが、その当たり前のことにすら考えが及ばないことに悔しさを感じました。
装備編 でもお話ししていますが、赤岳鉱泉を朝6時に出る時、上は、ドライレイヤーとフリースのみでした。
驚く私たちに、『寒かったら着ればいい。寒いのはシェルを着る数秒で解決できるが、濡れは、山行中ずっとどうにもならない。どちらがいいかと言うこと』と教えてくれました。
汗をかかないようにする。なぜなら汗冷えに繋がるから。こんな初歩的なことも本当の意味で理解できず、目先の暖かさに囚われ、その先のリスクを認識していないことに気づきました。
森林限界の際で、シェルを着るように言われ、また、観察するように言われました。そして
『ここが森林限界。ここより上で着替えたり、飲み物を飲んだり、停滞することは危険です。ポケットのジッパーも閉めること。ここから先は、地面にものを置かないでね。一発でロストするよ』

経験則に基づいた貴重な話が次々出てきます。必死に聞きました。
操作性の悪い3本指グローブで様々な準備に手こずっていた同行者に対しても(事前に5本指推奨と伝えられている)
『ここで停滞していることがリスク。5本指にしよう。あとアイゼンの紐は、余っているところ切っておこうね。』
確かに、余った紐はしっかりまとめたつもりでも山行中外れてきて踏んでしまう危険もあったし、それを直している間は冷たく吹き付ける風にさらされます。
また、『アイゼンの紐は、オーバーグローブをした状態で操作できるようにと言われていました。』オーバーグローブを外せば、操作性はよくなりますが、インナーグローブを濡らすことは、凍傷のリスクに晒されるからです。


途中で、顔の凍傷チェックもしました。顔が凍傷にならないようにシェルのフードをかぶるタイミングや『登るときはサングラス曇り防止でジッパーを一番上まで上げない』『下りでは、下から巻き上げる風が吹くからジッパーを全部あげる』など場面に応じた適切な指示も受けました。
印象的だったのは、出発前、ガイドさんが私たちのザックの重さを確認していたこと。
これは、想像なのですが、重いことが『行動の遅れ、体力の消耗、その分寒さに晒される時間が増える』と言うことなのかなとみていて感じました。
いかに、寒さに晒される時間を減らすか、 そのために必要な装備は何か、考えてるんだと思います。
よく言われる安全登山のために『スピード(体力)、軽量化』は雪山ではこう言うことなのかなと感じました。
なんでその装備でなくてはならないのか、身をもって理解した山行でした。
リスクその3 滑落
雪山でなくても怖いのが滑落による事故です。
雪山では、よく滑落停止技術などを学びますが、こちらのガイドでは、『滑落停止はあまり成功しない。(え?そうなの?)それよりも滑落しない歩き方を学ぶことが大事』というスタイルで行っています。
私も山行中何度も注意されました。
『(アイゼンの)片ぎきは転ぶよ。』『足の向きに気をつけないと崩れて持っていかれるよ』
きちんと理解するには2日間では足りなかったです。
初日の歩行技術講習の際、きちんとなんでその歩き方がいいのか説明していただいたので、必死に真似していましたが、実際に急な傾斜の下に来ると、恐怖心から間違った足の置き方をしてしまいます。

体に染み込ませるために何度も練習が必要だと感じました。
ただそのきっかけをしっかり学ばせていただいたので、今後の山行に生かしていきたいと思います。
※ちなみに樹林帯に降りてきたところで、道をショートカットできる急斜面があり、ガイドさんに『テルさんここからお尻で滑って降りてきてね。』と冗談ぽく言われました。
実際に滑ってみて感じたこと。『絶対止められない。』でした。途中石が見えているところがあり、ブレーキかけて調整しようとしていましたが、想定よりもずっと速いスピードが出るし、加速度的に速度が上がっていきました。緩い斜面での尻滑りならまだしも、アイゼンを使うような斜面で滑ったらどうなるか。身をもって経験しました。
(安全にチャレンジできるところを見つけてやってみるといいと思います。これは聞くより、体感した方がいいです。)
まとめ
じっくりガイドさんの動向をみていたつもりでしたが、私が見えた範囲はこのくらいでした。
実際にはもっと色々あったと思いますが余裕ありませんでした。笑
プロと一緒に山に登ってみて、実際に体験したこと、教わったこと、曖昧だったことがわかったこと、勘違いしていたこと、色々ありました。
最低、年に一度はプロと登った方がいいなと感じました。今回お世話になったガイドさんは夏はやらないみたいなことをおっしゃっていたので、夏の登山の時もどこかやりたいな。
今までガイド登山って言うとなんか他力で登っていてやりたくない!と思っていましたが、確かな技術を学ぶためにあるんだなと思いました。ガイド登山。勉強になりますよ!いいガイドさんを見つけて、登山を楽しんでください!
YouTubeチャンネルやっています。
終わり
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